「一生もの」とは、長く使い続けられる耐久性と、使うほどに味わいを増していく魅力をあわせ持つもの。 時代や流行を超えて、自分だけの歴史や記憶が刻まれていく存在です。大量生産や消耗品では得られない、“育てる楽しみ”がそこにはあります。
今回紹介する「耳付き天然木のデスクシェルフ」は、まさにそんな「一生もの」。木が持つ個性をそのまま活かし、使い手が手を加えることで、より唯一無二の存在になります。
アトリエ木馬の耳付き天然木とは?デスクシェルフDIYのインスピレーション
耳付きの天然木といえば、「アトリエ木馬」が有名です。無垢材のテーブル専門ブランドとして、素材選びから加工までこだわり抜かれた商品がそろっています。中でも印象的だったのが、天板とシェルフの両方に耳付き天然木を使用した2段構造のデスク。その美しさに心を奪われ、「いつか自分の環境にも取り入れたい」と強く思ったのがきっかけです。
今回はそのインスピレーションをもとに、自分のワークスペースにぴったり合う耳付き天然木のデスクシェルフをDIYすることにしました。既製品にはない「サイズ感」と「木の個性」を活かした、完全オリジナルの一生ものです。
- キリオ 楓 アトリエ木馬
- ブビンガ アトリエ木馬
耳付き天然木とは?おすすめの理由と魅力
木の“耳”とは、伐採された木材の側面、自然な形を残した部分のこと。工業製品ではまっすぐにカットされがちなこの部分には、木が育ってきた年月の跡がそのまま刻まれています。曲がり、うねり、樹皮の跡。どれもが個性的で、「世界にひとつしかない造形美」です。
また、天然木は時間とともに色味や艶が変化していきます。日光にさらされ、手で触れられ、空気とともに呼吸をしながら、少しずつ深みを帯びていく様子は、まさに育つ素材。デスクシェルフとして、目の前でその変化を日々楽しめるのは、非常に贅沢な体験です。
【挿入写真】耳のうねりが見えるアップ写真
デスクシェルフDIYに最適なサイズとレイアウトの決め方
耳付き天然木でデスクシェルフをDIYする際に重要なのが、自分のデスクサイズとのバランス。主に以下のポイントを押さえておくと、自分の空間にぴったりフィットしたシェルフを作ることができます。
- シェルフの長さ:デスクの幅より5〜10cmほど短く
- 奥行き:15〜25cm(小物置きにちょうど良い)
- 高さ:モニター下の収納なら10〜15cm
- 木の厚み:存在感と耐久性を考えて30mm以上
– 自分の空間にぴったり合うシェルフを探している人
– 木の温もりを感じる空間を作りたい人
【挿入写真】デスク全体とシェルフ設置後のイメージ
ちなみに私は、FlexiSpotと「IKEA カールビー」の天板の組み合わせのデスクを使用しており、ウォールナット/突き板, 長さ186cm x 奥行き 65cm x 厚さ 3.8cmの天板を使用しています。これを夫婦2人で使用するので、半分ずつのスペースで使用しています。
ヒノキ材の魅力とスペック|天然木デスクシェルフDIYの素材選び
今回選んだ木材は「ヒノキ」。理由は以下の3つです:
- 木目が美しく、清潔感のある色合い
- 香りがよく、リラックス効果がある
- 耐久性が高く、経年変化が美しい
スペック: 長さ:1500mm / 奥行き:180〜200mm / 厚さ:43mm
【挿入写真】ヒノキ耳付き天板の全体
耳部分は柔らかく丸みを帯びたラインで、手にも目にも優しい印象です。DIYで仕上げる工程そのものが、一生ものを“育てる”楽しさでもあります。
耳付き天然木の探し方|おすすめ通販サイトと検索ワードまとめ
耳付き天然木は「一期一会」。ネットで探す際には、検索ワードの工夫と定期チェックが鍵です。
おすすめサイト:
おすすめ検索ワード:
- 耳付き / 耳付
- カウンター用天板
- テレビボード用天板
- 天板 無垢材
- 木材サイズ(長さ・幅・厚さ)
– 既製品では満足できない人
– 唯一無二の木の表情を楽しみたい人
ワトコオイルでダークウォルナットな色合いに
木材そのものの美しさも魅力的ですが、さらに深みのある風合いに仕上げたいと思い、今回は「ワトコオイル」のダークウォルナットを使用しました。塗装の前はやや白っぽく、ナチュラル感が強かったヒノキ材が、オイルを吸い込むことで一気に落ち着きのある大人びた表情へと変化。ほんのり赤みがかった茶褐色が、空間に重厚感を与えてくれます。
【挿入写真】ワトコオイルで1回目の塗装終了後
ワトコオイルは木の導管に入り込みながら内部で硬化するため、木目を美しく際立たせつつ、表面をしっとりと仕上げることができるのが大きな魅力。塗ってすぐに艶が出るのではなく、乾燥を経て徐々に落ち着いていく感じも、まさに「育てていく」感覚です。
【挿入写真】ワトコオイルで2回目の塗装 + ヤスリによる磨き終了後
オイル塗装は2回に分けて実施。1回目の塗布後にキッチンペーパーでしっかり拭き上げてから、30分ほど時間を置いて2度目を塗布。より滑らかな仕上げになるようにオイル塗布後の濡れた状態で300番台のヤスリで磨きました。こうすることで削った細かい木の粉が木目の繊維に入り込んで表面が滑らかになり、より美しい仕上がりになりました。
その後表面を再度キッチンペーパーで拭き取り、そのままだとワトコオイルの匂いがありますので1日自然乾燥させることで染め上がり完成です。
きちんと乾燥させた後は、オイルの残りは残らずヒノキ材の自然な香りが楽しめますのでそこは安心しました!
【挿入写真】表面拭き取り後に外で乾燥
カンペハピオ(Kanpe Hapio) ワトコオイル ダークウォルナット W-13 200ML
ワトコオイルの容量は「1L」「200mL」で悩みましたが、今回のサイズの天板サイズで表面+側面のみ塗り(裏面は未塗装)の場合は200mLで十分足りました。
【挿入写真】デスク全体とシェルフ設置後のイメージ
この色合いは、IKEAカールビーのウォールナット天板との相性も抜群で、全体の統一感を高めつつも、天然木ならではの自然な個体差がアクセントとして生きています。
蜜蝋ワックスで潤いをプラス
ワトコオイルだけでも十分美しい仕上がりになりますが、今回はさらにひと手間かけて「蜜蝋ワックス」で仕上げを行いました。オイルで落ち着いた質感の上に、蜜蝋の自然な光沢を重ねることで、表面にうるおいと滑らかさを与えることができます。
使用したのは、木工DIY界隈で定番とも言える「未晒し蜜ロウワックス」。天然成分100%で、オイル仕上げ後の木肌にも安心して使えます。布に少量取り、薄く全体に塗り広げた後、乾拭きするだけ。作業も簡単で、初心者でも扱いやすい仕上げ材です。
何より、手で触れたときのしっとりとした感触がとても気持ちよく、時間が経っても乾燥しにくい点も魅力。シェルフは日常的に手を触れる場所でもあるので、触り心地のよさは「一生もの」としての満足度を高めてくれます。
【挿入写真】蜜蝋クリーム塗布後のデスクシェルフ
また、蜜蝋ワックスは後々メンテナンスも簡単で、数ヶ月に一度軽く塗り直すだけで潤いが戻ります。経年変化を楽しみながら、常にベストな状態をキープできるという安心感も◎。
作業性を計算して脚の位置も自由自在
見た目や素材感にこだわるだけでなく、実用性を高める工夫としてこだわったのが「脚の取り付け位置」です。DIYならではの自由度を活かし、自分の使い方に合わせてデスクシェルフの前側と後ろ側で足の取り付ける位置を変えて調整しました。
【挿入写真】脚の位置を決めるために天板を裏返して、デスクアイテムを仮置き
例えば、シェルフの下にキーボードとマウスを収納するスペースを確保したい場合、前側の脚をデスクシェルフの内側に設置せず、外側にやや寄せる形で配置することで、中央部分の使用面積を広くとるようにしました。
逆にデスクシェルフの奥側は座っている自分からは見えないのですが、モニターアームの位置と干渉しないように内側に寄せる形で配置しました。
他にも前側から脚がはっきりと見えるような手前でなく、少し奥まった箇所に設置することで自然に脚自身もデスクシェルフ側に隠れる用になり脚の存在感を薄くしました。
また、脚の素材も木製ブロックやアイアン、アクリルなどさまざまな選択肢がありますが、今回はあえてシンプルな金属製ブラケット脚を採用。主張しすぎず、天然木の存在感を邪魔しないバランスを意識しました。
【挿入写真】脚設置のためドリルで穴あけ+ネジ止め
取り付けは木ネジで固定するだけなので、使用していく中で気になれば付け直しも可能。その「余白」こそがDIYの良さであり、柔軟に調整できる余地があることは長く付き合う上でも非常に大切なポイントです。
また天板高さを調整するために脚自体に高さ調整機能があるものを使用しました。私は最低高さの「8cm」でデスクシェルフの高さを上げずに使用しておりますが、今度デスクシェルフにちょっとした引き出しをつけるなどカスタムするときに役立ちそうです。
一生ものになる耳付き天然木デスクシェルフをDIYする魅力とは
【挿入写真】デスクのセットアップ後
天然木を使ったDIYには、完成品を買うのとは違う楽しみがあります。それは、手をかけ、時間をかけ、自分で形にしていくプロセスそのもの。
木を選ぶところから始まり、カット、脚の取り付け、オイル塗装。すべての工程に、自分の意思と手が加わっています。このシェルフが、時とともに色が変わり、小傷がつき、どんな表情になっていくのか——
その変化を楽しみにしながら、一緒に時間を重ねていける存在になってくれるはずです。
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