エスプレッソマシンは、コーヒー好きにとって「一生もの」になり得るアイテムです。毎朝の1杯を特別なものにし、時間をかけて使い込むことで愛着が湧く。そうした道具こそが、永く愛用するものとしてふさわしいといえるでしょう。
今回の記事では、私が実際に家庭用エスプレッソマシンを選ぶ上で考慮した重要なポイントと、比較対象の候補とした6機種と実際に決めた機種、およびその理由を詳しく紹介していきます。
先に述べますと、私が選んだエスプレッソマシンは「Gaggia Classic Pro」です。こちらで毎朝の美味しいカフェラテを淹れて楽しんでおります。
家庭用エスプレッソマシンを選ぶポイント
エスプレッソマシンを選ぶ際に私が重要視したのは、以下のポイントです。
① ポルタフィルターサイズ:58mmか51mmか
エスプレッソマシンのポルタフィルター(コーヒー粉を入れる部分)のサイズは、主に 58mm と 51mm の2種類があります。
今回比較する6機種はすべて 58mm のポルタフィルターを採用しており、本格的なエスプレッソ抽出が可能です。
なぜ58mmが優れているのか?
- 業務用と同じ規格で、抽出の安定性が高い
- 市販のカスタムパーツが豊富
- 51mmだと狭い表面積に対してコーヒー粉の層が厚くなるため、高い圧力で無理に抽出している状態となってしまう。一方58mmだと均一にお湯が伝わるため抽出が安定しやすい。
② 立ち上げ時間とボイラーの種類
朝の忙しい時間に使うことを考えると、立ち上げ時間の短さは重要なポイントです。立ち上げ時間は主に「ボイラー(ヒーター)」の種類で決まります。
ボイラーの種類は立ち上げ時間以外にも、スチームを温める際にどれくらいの準備時間がかかるかにも影響してきます。スチームミルクを用意している間にすでにいれたエスプレッソのクレマが消えてしまったり、スチームに十分な撹拌力がないと水っぽいスチームミルクになってしまったりするのでラテアートを本格的に行いたいという人は協力なボイラーを持つエスプレッソマシンがおすすめです。
- サーモブロックタイプ → 1〜2分
- シングルボイラータイプ → 5〜10分
- ヒートエクスチェンジャー(HX)タイプ → 約15分
③ カスタム性 と 修理のしやすさ
マシンによっては、PID(温度調整機能)追加や圧力調整などのカスタムが可能です。こだわり派の人は、このカスタム性の高さもチェックすると良いでしょう。
またカスタム性が高いということは、構造が比較的シンプルで自分での修理が可能だったり予備パーツが手に入りやすいということです。永く使うためにはこの観点も重要なポイントです。
④ 抽出操作(どこまで手動にこだわるか)
エスプレッソマシンの操作性には、次の3タイプがあります。
- 全自動タイプ → ボタン1つで抽出まで完了
- ボタン操作タイプ → 抽出開始・停止を手動で管理
- レバー操作タイプ → 圧力を自分で調整しながら抽出
どこまで手間をかけたいかによって、選ぶべきマシンが変わってきます。
家庭用エスプレッソマシン 6機種比較
比較表(主要スペック & 抽出操作のしやすさ)
基本性能比較
モデル名 | ボイラー | ミルクスチーム | カスタム性 | サイズ | 抽出操作(手間) |
---|---|---|---|---|---|
ソリス バリスタグランドストー | サーモブロック | 弱め | 低め | コンパクト | 自動抽出・手動抽出 |
デバイスタイル TH-W030 | シングルボイラー | 強め | 低め | 非常にコンパクト | 自動抽出 |
Gaggia Classic Pro / Evo Pro | シングルボイラー | 普通 | 高い(改造しやすい) | 標準サイズ | ボタン操作(手動抽出) |
ランチリオ シルビア | シングルボイラー | 普通 | 高い | やや大きめ | ボタン操作(手動抽出) |
Rocket アパルトメント | ヒートエクスチェンジャー | 強力 | 非常に高い(業務用パーツ多数) | やや大きめ | レバー操作(手動抽出) |
ラパボーニ(ハンディ) | なし(手動) | 普通 | 高い | コンパクト | 完全手動(レバーで圧力調整) |
サイズ感・重量比較
モデル名 | サイズ (幅×奥行×高さ) | 重量 | タンク容量 | 価格帯 |
---|---|---|---|---|
ソリス バリスタグランドストー | 22cm × 32cm × 35cm | 6.4kg | 1.7L | 中価格帯 |
デバイスタイル TH-W030 | 22cm × 32.5cm × 31.5cm | 3.8kg | 1.2L | 低価格帯 |
Gaggia Classic Pro | 23cm × 38cm × 24cm | 8.5kg | 2.1L | 中価格帯 |
ランチリオ シルビア | 約23.5cm × 29cm × 34cm | 約14kg | 約2L | 中〜高価格帯 |
Rocket アパルトメント | 27.4cm × 42.5cm × 36cm | 約20kg | 約1.8L | 高価格帯 |
ラパボーニ Europiccola | 約20cm × 32cm × 35cm | 約5kg | 約0.8L | 高価格帯 |
6機種の詳細レビュー
ソリス バリスタグランドストー
手軽に本格的なエスプレッソを楽しみたい人向けの入門モデル。
ソリス バリスタグランドストーはPIDコントローラーやプレブルーイング機能を備え、初心者から中級者向けです。
特徴として、デフォルトのセット品に抽出に必要なポルタフィルター以外に「タンパー」「ミルクピッチャー」など最初に揃えるべき器具が揃っています。
他にも立ち上げから約30秒で抽出可能とスピーディな一方、ミルクスチームにかかる時間は長めとのレビューの声があります。
– 慌ただしい朝の利用で電源ONからすぐに抽出したい人
– まだエスプレッソ用の器具を揃えていなくて、購入してすぐに使いたい人
– ミルクスチームは重要視せず、ラテアートなど行わない人
デバイスタイル TH-W030
省スペース & シンプル操作を重視する人向け。
スチーム性能はコンパクトながら強め、軽量で扱いやすいです。発売してから年数が経過しているので徐々に在庫減で手に入りにくくなっている可能性があります。
軽量な分、見た目はプラスチック感が強いので高級感を求める人には他の製品が候補として挙げられるかもです。
– 省スペース手頃に始めたい人
– しっかりとスチームミルクを作ってラテアートも始めたい人
Gaggia Classic Pro / Evo Pro
カスタムしやすく、こだわり派に人気のモデル。
シンプルなボタン操作で、自分好みに調整できるのが魅力です。最終的に私はこちらのエスプレッソマシンにしました。選んだ理由はこの後に詳細に紹介します!
業務用エスプレッソマシンの技術をそのまま家庭用に落とし込んだモデルで、20年以上にわたり世界中のバリスタやコーヒー愛好家に支持されています。
抽出操作はボタン式で、抽出のオン・オフを自分でコントロールするスタイル。このマシンを使いこなすには多少の経験と慣れが必要ですが、その分だけ「淹れる楽しさ」と「味の深み」が味わえる一台です。
また、PIDの後付けやシャワースクリーン交換など、カスタマイズの余地も大きく、「育てる楽しさ」がある一生もののマシンです。
ランチリオ シルビア
プロ仕様のボタン操作マシン。
強力なスチーム機能を持ち、カスタム性も高い。
ランチリオ シルビアもGaggia Classic Pro同様に、業務用エスプレッソマシンを家庭用に落とし込んだモデルです。
こちらはフルステンレスボディ、頑丈で高級感がありますがその分重量もあります。
抽出操作はボタン式で、抽出のオン・オフを自分でコントロールするスタイル。このマシンを使いこなすには多少の経験と慣れが必要ですが、その分だけ「淹れる楽しさ」と「味の深み」が味わえる一台です。
Rocket アパルトメント
プロ仕様でカッコ良く、レバー操作などマニュアル操作を楽しみたい人におすすめです。
レバーやバルブを木製のものに変更カスタムして見た目をたのしむことも可能です。
まず、こちらのアパルトメントは見た目が最高にかっこいいので、部屋の中でのインテリアとしても抜群の存在感を示してくれるはずです。
使用に関しても業務用レベルのスチーム性能と抽出クオリティを家庭で楽しめるポテンシャルを有しております。ヒートエクスチェンジャータイプのボイラーのためマシンの立ち上げ(ヒーターがあたたまるまで)に15〜20分ほどかかる一方、一度立ち上がった後にはエスプレッソ抽出後にすぐにミルクスチームを作れるパワフルさがあります。

– インテリアとしても抜群の存在感を求めている人
– 将来小規模なカフェ店舗経営も考えてるいる人
– ボタン操作でなく、手動操作で抽出したい人
ラパボーニ Europiccola
完全手動でエスプレッソを楽しむならコレ!
電源不要でどこでも抽出可能。レバーの操作性が味に直結するため、上級者向け。
あらかじめ沸かしたお湯をレバー部分上部に注ぎ、そのお湯をレバーで押し出してエスプレッソを抽出します。
– 全てをマニュアルで自分で圧力をかけるレバー操作にロマンを感じる人
-手作業が好きで、手間も時間も楽しみの一部と思える人
なぜGaggia Classic Proを選んだのか
家庭用エスプレッソマシンは数多くありますが、その中でGaggia Classic Proを選んだ理由はいくつかあります。
シンプルで本格的な構造
Gaggia Classic Proは、プロ仕様の3ウェイソレノイドバルブを搭載しており、抽出後の圧力を適切に解放するため、連続してエスプレッソを作る際にも安定したクオリティを維持できます。また、シンプルなデザインでありながら、内部構造は非常に本格的です。
・シンプルな構造ながら、改造によってさらなるクオリティ向上が可能。
・長年愛されているモデルであり、信頼性が高い。
ステンレス製筐体の堅牢さと美しさ
堅牢さ
多くの家庭用エスプレッソマシンはプラスチック製の外装を採用していますが、Gaggia Classic Proは頑丈なフルステンレスボディを採用。これにより、耐久性が大幅に向上し、長期間使用しても劣化しにくいのが特徴です。
美しさ
ステンレスの質感は、どんなキッチンにも馴染み、高級感を演出します。使い込むほどに美しい輝きを保ち、汚れも拭き取りやすいため、常に清潔な状態を維持しやすいのもメリットです。
・美しい質感で、キッチンやカフェスペースに馴染むデザイン。
・手入れがしやすく、清潔感を保ちやすい。
「Gaggia Classic Pro」と「Gaggia Classic」「Gaggia Classic Evo Pro」の違いは?
モデル | 主な特徴 |
---|---|
Gaggia Classic | 初代モデル。ステンレスボディではなく、やや簡素な設計。 |
Gaggia Classic Pro | Classicを改良し、ポンプ性能やスチームワンドを強化。より本格的なエスプレッソが淹れられる。 |
Gaggia Classic Evo Pro | 最新モデルで、ボイラーの材質が改善され、温度安定性が向上。細部のデザインもアップグレード。 |
・特にClassic Proは、バランスの良いスペックで、初心者から上級者まで幅広く対応可能。
歴史の長さ = 認められたユーザーの多さ
Gaggiaは、1947年に最初のエスプレッソマシンを開発した老舗ブランドです。その中でも「Classic」シリーズは、長年にわたって世界中のバリスタや家庭ユーザーに愛され続けています。
Gaggia Classic Proは、数十年にわたる改良の積み重ねによって完成したモデルであり、多くのレビューやコミュニティのサポートがあるため、初心者でも安心して選べる一台です。
また、長く使われているということは、交換部品やアップグレードパーツも豊富に存在するというメリットもあります。
・Classicシリーズは長年にわたる改良と実績がある。
・ユーザーが多いため、カスタマイズ情報や交換部品が手に入りやすい。
マシン改造の沼。。「Gagguino」とは
Gaggia Classic Proは、そのままでも素晴らしいマシンですが、改造(MOD)を施すことでさらなる性能向上が可能です。
その代表的な改造の一つが、「Gagguino」と呼ばれるファームウェアアップグレードです。これは、温度制御やプリインフュージョン(蒸らし)をソフトウェア的に調整できるもので、純正のGaggia Classic Proではできなかった細かい制御が可能になります。
主な改造ポイント
- PIDの追加:温度を安定させ、エスプレッソの味を向上させる。
- スチームワンドの交換:ミルクフォーミング性能を強化。
- ファームウェア「Gagguino」の導入:温度や抽出プロセスをより細かく制御。
・「Gagguino」ファームウェアを導入すると、細かい温度調整や抽出設定が可能に。
・改造の情報が豊富で、初心者でも挑戦しやすい。
まとめ|どのエスプレッソマシンを選ぶべき?
🔹 初心者向け(簡単なボタン操作でOK)
→ ソリス バリスタグランドストー、デバイスタイル TH-W030
🔹 中級者向け(自由に抽出時間を決めたい)
→ Gaggia Classic Pro / Evo Pro、ランチリオ シルビア
🔹 上級者向け(レバー操作でこだわりたい)
→ Rocket アパルトメント、ラパボーニ
自分のライフスタイルやこだわりに合った1台を見つけて、一生もののエスプレッソ体験を楽しんでください!
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