近年は若手社員(入社2~5年目)も海外赴任に行く機会が十分にあります。急に海外赴任候補に貴方が抜擢されたら、それをどのように受け止めますか?
海外赴任を待ち望んでいたのか、それとも会社の辞令で仕方なくなのか、受け入れ方はその人や状況によりけりだと思います。
しかし、一つだけ確かなのは海外赴任は貴方が成長するチャンスです!
海外赴任の打診を受けた人や希望する人の参考になればと思い、全ての海外赴任で一括りにはできないですが、私が若手時代に海外赴任した際に感じた若手で海外赴任に行くことのメリット・デメリットについて紹介していきたいと思います。
海外赴任 のメリット
様々な業務経験が詰める
海外赴任先での仕事は、日本にいたときよりも範囲が広くなります。海外では日本人(監督者)は少数で、その少ない人数で現地従業員や作業員を管理して仕事を進める必要があるからです。
つまり、担当する案件も増え、それに伴い貴方の下に部下がつくこともあるのです。
私も海外赴任の際は、国内にいたころと全く異なる分野の仕事の担当になり、一から勉強しながらも3~4件の案件を同時に抱えていました。
しかし、海外赴任が終わり国内に戻った後も、異なる分野の知識・バックグラウンドが役に立つことが多々あります。
自分の専門を極めることも大事ですが、永い社会人生活なので少し回り道して自分の知識・経験に他分野の色を混ぜることで、貴方だけの深みや色合いになるのではないでしょうか。
コミュニケーションのコツがつかめる
海外赴任先では、基本的に業務は外国語のみで行われます。現状は多くの人が英語を用いております。しかし、一言に「英語」といっても国や地域によってコミュニケーションは異なってきます。
ネイティブスピーカーが大多数の職場(アメリカ・イギリス)では、ネイティブ英語で業務が進められているでしょう。これらの国に赴任されれば、ネイティブに近い語学力を身に着けられる(もしくは身につけなければならない)でしょう。
では、ノンネイティブの国(東南アジア・西欧諸国)ではどうでしょうか?赴任先の先輩社員や現地人が全員英語堪能かというと、意外とそうでもなくそれぞれの国独自の訛りやイントネーションを持った独特の英語が飛び交います。
特にノンネイティブの国で仕事をする際に多いのですが、結構文法がめちゃくちゃでも仕事の話は通じてしまいます。
私はエンジニアとして、東南アジアに赴任したのですが、そのときも図面と数字と専門単語の共通認識がされていれば現場での意思疎通がこなせてしまうことがあります。
互いにノンネイティブだから、相手の言うことを聞き取ろう、理解しようという姿勢も自然に生まれます。相手の英語も崩れているし、自分のブロークンイングリッシュも気にならなくなってしまうのです。
言語の壁があるからこそ、重要な単語を事前に調べておく・図や数字をその場で書きながら説明する、というコミュニケーションスキルが身に付きました。
膨大な仕事をこなすコツが得られる
海外現場では、規定のスケジュール内に仕事を終わらせようと働くことが多いです。また、海外現場ならではの突発的なトラブルの対応に追われることも多々あります。
私がいた東南アジアの現場では、停電や現地従業員による盗難の被害が絶えませんでした。
そんな毎日がアクシデントのような状況にいると、自分の抱えている仕事の優先順位がどれくらいなのか、全体のスケジュールに与える影響がどれくらいなのかを意識しながら仕事を進めることができます。
担当範囲が広く、かつ突発的なアクシデントが多発する状況だからこそ、いかに優先順位を設定して仕事をこなすか、というコツが磨かれるのだと思います。
異文化に触れる機会が多い
海外赴任先では、メジャーは現地の従業員であり我々日本人はマイノリティーです。当然、文化等は彼らに合わせる方がうまくいくことが多いです。
異文化を感じられる機会は多くあります。例えば、
- 食べ物
- 宗教
- 祝日
- 冠婚葬祭
国が違えばこれらのことも全て異なってきます。
「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、日本式の文化はひとまず置いといて、現地の文化を楽しみましょう。
こうした異文化に積極的に触れていくことは、貴方の世界を広げてくれるだけでなく現地従業員と打ち解ける最高の機会です。一緒に働く仲間を理解するためにも、ぜひ彼らの文化に飛び込んでいってください。
貯金は結果的に増える
冒頭でも述べましたが、現地であまりお金を使う機会がないために、結果的にお金が貯まります。
増えた貯金は、将来のさらなるキャリアアップのために投資に回すもよし。頑張った自分にご褒美を買うのもいいでしょう。
注意したいのは、貯金が増えたことにより金銭感覚を失わないことです。
私の経験ですが、一時帰国の度にストレス発散のために買い物をしまくり、長期的に見て必要のないものまで買ってしまいました。
増えた貯金は、貴方の頑張りの成果であり、また海外赴任が終わったらもう今までのペースで貯金が増えることがないということを念頭に置いてご利用は計画的にしてください。
海外赴任 のデメリット
必ずしも自分の専門が活かせる業務とは限らない
若手の海外赴任の場合、経験を積ませるということで必ずしも自分の専門の部署に派遣されるとは限りません。
海外現場のその時の状況・人員配置等により配属が決まるので、若手社員の意見が反映されることは少ないと思います。
私も海外赴任の際は、国内にいたころと全く異なる分野の仕事の担当になり、一から勉強が必要でした。
別の分野の知識・経験を積めるいい機会と考えて、腐らずにその場の自分が出来る精いっぱいの事をしてください。
その姿を見ている人は見ています。また、その頑張りは貴方の血となり肉となりその後の業務の中でも必ず役に立つ日が来ます。
語学力は思ったよりも上がらない
海外に行けば、毎日業務で英語を使うので確かに語学力は上がります。
しかし、その環境になれると独自のコミュニケーションである程度仕事が回り始めるのでそれ以上の語学力の向上が望めないのです。
私の経験では、語学よりも新規分野の技術や単語の勉強が精いっぱいでビジネス英語に気を回す余裕が無かったというのが正しいのですが。
もし本当に語学力を向上させたい場合は、毎日の語学の勉強が重要です。
その学習した知識を、即座に職場で実践し自分なりに使える表現にしていく。この繰り返しによってのみ真の語学力が身につくのです。
過度なストレスがかかる事が多い
常にトラブルに追われる、納期に追われる職場であり、現場の実情を知らない国内からはスケジュールの遅れを指摘される。そのような板挟み構造でストレスを感じる場面が多々あります。
唯でさえ慣れない職場・環境・日常生活の変化が加わり体調を崩す駐在員も少なくありません。
自分なりの健康管理法とストレス解消法を持っておくと、自分の生活の芯を通すことができ、過度なストレスや環境の変化にも柔軟に対応できると思います。
日本の友人・恋人と疎遠になりがち
海外赴任の期間は会社や赴任先によって様々ですが、短くて3か月のものから3~5年、果てはいつ帰れるかわからない、といった場合もあります。
もちろん、しっかりとした会社であれば3~4か月に一度1~2週間の休みを与えて日本に帰国させるなどの制度を設けています。
しかし、若手社員の20代中盤から30代前半にかけては様々な人生のイベントがあります。
- 自身の結婚
- 友人の結婚式
- 同窓会の連絡
- 日常の飲み・趣味の集まり
一生に一度しかないようなイベントから、日常のありふれたイベントまで、海外赴任の期間中からは遠ざかってしまいます。
特に現在恋人がいる方は、数年間も相手を日本にのこしていいのか、結婚するべきか、と二人の将来について大いに悩むかもしれません。
しかし、数か月に一度は会うことはできます。また、今の時代インターネットの発達によってメールやSNS等で連絡を取ることが容易になりました。
海外の珍しい体験を友人にシェアする、海外赴任先の旅行に案内するなどして、この海外赴任をきっかけにより深い関係になれるよう考えてみるのも面白いかもしれません。
最後に:それでもやっぱり海外赴任はチャンス
ここまでメリット・デメリットを述べてきましたが、海外赴任は今までの環境を大きく変える重要なイベントです。それには、変化も伴い今までの生活とは別の物となるでしょう。
しかし、あと30年40年と働くかもしれない永い社会人キャリアの中で少し回り道して新しい知識・経験を得ることで、貴方だけのオリジナリティや強みが得られ、それがひいては貴方のキャリアの強固な基盤となるのではないでしょうか。
海外赴任をしたくても、行かせてもらえない若手社員も多くいる。その中で貴方はその選択権を手に入れた。それだけで十分すごいことなのではないでしょうか。
後はそのチャンスを活かすも活かさないも貴方次第です。貴方の海外赴任の希望が通り、ビジネスキャリアの大きな財産となることを祈っております。
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